9600シリーズ    電話回線制御ユニット

TK-9690   使用説明書
■概要  ◇本ユニットは、公衆通信回線や専用回線を使用して、音声やデータのやりとりをする、MA型NCU
      (手動発信・自動着信型網制御装置)です。
     ◇DTMFデコーダーとの組み合わせにより、無人設備の各種遠隔制御を可能にします。さらに、無線機
      とリレー回路等を組み合わせて、フォーンパッチ(無線電話)にも利用できます。
     ◇外部制御装置の併用により、自動案内装置等に応用できます。


■特長  ◇広範囲な電源電圧(DC5V~DC24V)で動作可能です。
     ◇小型設計(90mm×60mm)です。
     ◇呼出信号検出機能により自動着信(オフ・フック)が可能です。
     ◇話中音検出、無音状態検出機能により自動回線復帰(オン・フック)が可能です。
     ◇回線電流検出、回線極性検出機能により自動発信への応用も可能です。
     ◇リダイアル付きダイアル機能(操作ボタンはオプション)により手動発信が可能です。


■仕様  ◇使用電源電圧範囲・・・・・・・・・・・・・・DC5V~DC24V
     ◇標準消費電流・・・・・・・・・・・・・・・・待機時10mA 動作時40mA
     ◇送信信号利得(300Hz~3KHz)・・・・-3dB~0dB
     ◇受信信号利得(     〃     )・・・・-6dB~0dB
     ◇送信信号入力インピーダンス・・・・・・・・・約50KΩ
     ◇受信信号出力インピーダンス・・・・・・・・・約10KΩ
     ◇回線電流、回線極性、400Hz、
      音声信号検出信号出力(オープンコレクタ)・・耐圧DC24V 100mA最大
     ◇回線電流検出感度・・・・・・・・・・・・・・10mA以上
     ◇呼出信号検出感度・・・・・・・・・・・・・・30Vrms以上
     ◇400Hz、音声信号検出感度・・・・・・・・-26dB以下 -32dB最小(0dB:775mV)
     ◇400Hz検出周波数範囲・・・・・・・・・・380Hz~420Hz


■付属品  使用説明書 ×1、スペーサー ×4、コネクタハウジング ×4、コネクタコンタクト ×30


■ユニット外観


【図1】ユニット外観
NCUについて 、チョット一言 本書の説明の前にNCUに関連する事柄について、ちょっと解説を加えさせて頂きます。ご存知の方は、パスして下さい。 ■NCU NCUとは、Network Control Unit の略で日本語では、網制御装置といいます。仰々しい言葉ですが、読んで字の 如く、網の目のように張り巡らされた電話回線に対して、特定の相手を捕捉して発信、着信を行わせる機能を備えた 装置のことです。分かりやすく考えれば、“普通の電話機の受話器(ハンドセット)の無い状態の物”、もうこれは 一種のNCUです。一般に電話機には、発信(ダイヤルを回す)、着信(ベルを鳴らす)、通話(ハンドセット)の 機能がありますが、本ユニットではこれらとほとんど同様の機能を行わす事ができます。 ■オフ・フックとオン・フック ・オフ・フック・・・・電話機の本体から受話器(ハンドセット)を取り上げること ・オン・フック・・・・電話機の本体へ受話器(ハンドセット)を置くこと ■回線電流 電話機をオフ・フックすると交換設備(NTTの交換機等)と端末設備(電話機)の間に回線電流が流れます。 一般には、15mA~130mAの電流になります。 ■回線極性(L1,L2) 電話回線は2線で形成されていますが、この2線の間には一般に 48V の電位差が存在します。 この2線をL1,L2といい、公衆回線においては一般に相手側と回線が成立した時に自局(発信側)のL1,L2 の間の極性が反転します。 ■以下に交換機の接続動作を、その流れに沿ってまとめます。  ※表中の①~⑦はその動作順序です

■コネクタについて

 【図1】に示すように、本ユニットは、外部制御に必要な信号が、扱い易いように整理され、複数のコネクタに分 けられています。以下に各コネクタについての詳細を示します。

 ◇自動着信機能のみに使用される場合は、【図2】に示す5Pコネクタ、及び8Pコネクタの結線でOKです。   なお、5Pコネクタは、電話回線関係の配線用
  8Pコネクタは、電源関係及びDTMFデコーダ等への配線用です。

【表1-1】5Pコネクタの機能     (電話回線への入出力用)

端子№ 機能
用  途
電話回線 電話回線のL2に接続します
入力 電話回線のL1に接続します
FG 使用していません
親電話機 電話機のL2に接続します
出力 親電話機のL1に接続します

【表1-2】8Pコネクタの機能         (電源、オーディオ入出力用)

端子№
機能
用  途
電源入力 DC5V~DC24Vを接続します
0V(GND)を接続します
使用しません
送信信号入力 アンプ等からのプラス側に接続します
アンプ等からのマイナス側に接続します
受信信号出力 アンプ等へのプラス側に接続します
アンプ等へのマイナス側に接続します
DTMFデコーダー等へ接続します

【図2】基本的な外部結線

 ◇拡張動作を希望される場合は、【図2】に示す7Pコネクタ、及び10Pコネクタをご使用ください。
  なお、7Pコネクタの各種信号は、本ユニットの動作確認用に、10Pコネクタは、本ユニットの動作を更に細かく設定させるためのオプション用です。

【表1-3】7Pコネクタの機能(電話回線の各種制御用)



端子№
機   能
用   途
DC5V出力 使用しません
フック入力 フック入力とGNDの間に、フック・スイッチを接続します。
手動発信時にフック・スイッチをON(オフ・フック)します。
自動着信機能のみに使用する場合は、使用する必要はありません。
GND
回線電流検出信号出力 各信号出力と電源のプラス側に、別売の電源電圧に応じた発光ダイオード(LED)を接続します。
常に動作を確認したい場合を除いて使用する必要はありません。
端子№4は回線電流、端子№5は回線極性、端子№6は400Hzの信号を検出している間のみ、LEDが点灯します。
端子№7は400Hz以外の信号を検出している間と、400Hz以外の信号を検出できなくなってから2秒の間、LEDが点灯します。
回線極性検出信号出力
400Hz検出信号出力
音声検出信号出力

【表1-4】10Pコネクタの機能(オプション設定/ダイアル用)

端子№ (DIPスイッチ№1がON)
オプション設定入力選択時*1
(DIPスイッチ№1がOFF)
ダイアル押しボタン入力選択時
DC5V出力
呼出音検出回数設定入力 A、B、C、D列入力(COL4)
3、6、9、#列入力(COL3)
2、5、8、0列入力(COL2)
1、4、7、*列入力(COL1)
無音状態検出時間設定入力 *、0、#、D行入力(ROW4)
7、8、9、C行入力(ROW3)
話中音検出回数設定入力 4、5、6、B行入力(ROW2)
ダイアル速度切り換え設定入力 1、2、3、A行入力(ROW1)
10 GND

 *1 詳細は設定についての項のを参照して下さい。


■動作について  ────[その1] 電話回線と本ユニットとの、回線の〈接〉〈断〉のようす────

【図2】に示す接続において、本ユニットの基本的な動作を下記のフローチャートに示します。
なお、このチャートは・図2・に示す通りDIPスイッチの設定は、№2、№4、№5のみONの場合です。


待機中
*1自局より発信動作》          ↓            《自動着信動作》  
     ↓                                 ↓     
*2フックスイッチをON 相手局からのコールを受ける
     ↓                                 ↓     
・D1(フックモニターLED)が点灯
・D2(回線電流検出)が点灯
・D4(400Hz 信号検出)が点灯

↓呼出信号(16Hz)が発生
D3がコール(呼出信号16Hz)に応じて点滅
     ↓                                 ↓     
テンキーにて相手局の局番を入力
・入力開始と同時にD4消灯
・キー入力に応じてD5点灯


↓相手局をコール中 ↓D3が3回点滅したら
相手局がオフ・フックする
D3(回線極性検出)が点灯
D1(フックモニターLED)が点灯
同時にD2(回線電流検出)も
点灯し着信状態
     ↓                                 ↓     
相手局の音声を入感するとD5(音声信号検出)が点灯
《フックスイッチをON》
自局より発信の場合は
すでにONの状態
《無音状態》
(D4,D5が消灯の状態)
《相手局が電話を切る》
↓話中音が発生
↓(ツーツーツーの400Hz音)
フックスイッチをOFF
↓1分間継続したら
D4が話中音に応じて点灯
(400Hz 信号検出)
↓D4が3回点滅
オン・フック(復帰)  D1,D2,D3,D4,D5 すべて消灯

*1 自局より発信動作を行うには、・表1-4・の様にオプションコネクターにダイヤル用操作ボタンを接続して
   おく必要があります。
*2 フックスイッチとは、7Pコネクターのフック入力(端子No.2)とGND(端子No.3)の間に設けたスイッチ

■動作について  ────[その2] 本ユニットと電話回線とにおける入・出力信号のようす────

【図2】に示す接続図において、8Pコネクタの送信信号入力、及び受信信号出力は、本ユニット内部のアナログスイッチにより、【表1-5】に示した条件により電話回線との信号のやり取りを行っています。

【表1-5】送信入力及び受信出力と、電話回線との信号のON/OFF条件

条       件
送信入力
受信出力
端子№4 端子№6 端子№8
待機中 OFF OFF ON*1
待機中からの自動着信 ON OFF ON
待機中からのフック入力(7Pコネクタの端子№2と端子№3を接続)*2 OFF ON ON
自動着信からのフック入力(7Pコネクタの端子№2と端子№3を接続) ON ON ON
フック入力からの電話回線の極性反転検出 ON ON ON

*1 待機中でも、受信信号利得は約-30dB(697Hz~1633Hz、10KΩ負荷時)に下がりますが、
   電話回線の信号を出力しています。これは、本ユニットに接続した親電話機からの信号を受信できることを
   意味しています。
   したがって、親電話機から、本ユニットに接続したDTMFデコーダーを経由して、遠隔操作が可能です。
   (DTMFデコーダーの入力インピーダンスが低い場合は、増幅する必要があります)
   待機中は受信信号を出力しないようにするには、もう片方の受信出力(端子№6)にDTMFデコーダーを
   接続し、7Pコネクタの回線電流検出信号出力(端子№4)をフック入力(端子№2)に接続します。
*2 DIPスイッチの設定で、スイッチ№6をOFF(オフ・フック中は常に送信入力)にした場合は、送信入
   力の信号を電話回線に出力(ON)します。


■動作について  ────[その3] その他の動作について──── 

 ◇フックモニタ用発光ダイオードは、オフ・フックの時のみ点灯します。
 ◇7Pコネクタのフック入力は、GNDに接続すると発信(オフ・フック)状態となりますが、以下の場合は、
  発信保留となります。
  ・親電話機を使用中(回線電流を検出中)の場合。
  ・回線を切ってから3秒間(交換機が確実に復帰する時間)。
 ◇リダイアルは[*]の押しボタンです。発信後、最初に押された場合のみ有効です。


■設定について

  ◇本ユニットは、より多くの用途に対応できるように、動作をDIPスイッチの設定で切り換えることができま
   す。また、外部にスイッチを接続すれば、オプション設定も可能です。

  ◇電源投入時、オプション設定は全てOFFになります。以後、DIPスイッチの設定によりオプション設定が
   選択されている間の設定を保持します。


【表2-1】DIPスイッチの設定


スイッチ№ 機   能 O    N O  F  F
10Pコネクタ使用機能 オプション設定入力 ダイアル用操作ボタン入力
自動着信機能 自動着信 手動着信
呼出音出力機能 呼出音を出力する 呼出音を出力しない
無音状態検出機能 検出後自動復帰 手動復帰
話中音検出機能 検出後自動復帰 手動復帰
手動発信時の送信入力切り換え 極性反転検出後に送信入力 オフ・フック中は常に送信入力
ダイアル方法切り換え パルス・ダイアル式 プッシュ・ダイアル式

【表2-2】オプション設定(DIPスイッチ№1の10Pコネクタ使用機能がオプション設定の時のみ有効です)


端子№ 機  能 O N O F F
DC5V出力*1
-----
2~5 呼出音検出回数 【表2-3】を参照して下さい
6、7 無音状態検出時間 【表2-4】を参照して下さい
話中音検出回数 5回 3回
ダイアル速度切り換え 10pps 20pps
10 GND
-----

 *1 各機能において、ONを設定する場合に、それぞれの端子(№2~№9)に接続します。


【表2-3】呼出音検出回数設定 



10Pコネクタ端子№ 呼出音
検出回数
OFF OFF OFF OFF 3回
ON OFF OFF OFF 1回
OFF ON OFF OFF 2回
ON ON OFF OFF 3回
OFF OFF ON OFF 4回
ON OFF ON OFF 5回
OFF ON ON OFF 6回
ON ON ON OFF 7回
OFF OFF OFF ON 8回
ON OFF OFF ON 9回
OFF ON OFF ON 10回
ON ON OFF ON 11回
OFF OFF ON ON 12回
ON OFF ON ON 13回
OFF ON ON ON 14回
ON ON ON ON 15回

【表2-4】無音状態検出時間設定

10Pコネクタ端子№ 無音状態
検出時間
OFF OFF 60秒
ON OFF 30秒
OFF ON 90秒
ON ON 180秒